水産物の輸出実績
米国で日本産水産物のほとんどは日系食品商社を介してレストラン、小売店等へ販売されています。日系食品商社は、米国全土をカバーしているわけではありません。
日本産食料品の主な需要は、在留邦人(外務省海外在留邦人数調査統計によると北米で50万人弱)、日系人(全米で100万人以上)、日本人観光客、知日派の方です。これらの方が多いハワイ、西海岸、東海岸に日系食品商社は販売網を展開しています。
日本人ではない方々が経営している日本風の飲食店も増えています。これらの店舗の需要も期待できるでしょう。
水産物の輸出先
日本からの水産物輸出額(財務省貿易統計)の8割はアジア向けです。
地域別の輸出商品例
地域 | 特徴 |
アジア |
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米国 |
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欧州 |
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米国で水産物が輸出されるまでの推移
- アメリカ建国以来、欧州・アジア等から多くの移民と調理法を受け入れてきた。
- 日系移民の歴史(米国の日系人は120万人を越える、1880年代から広島県人のハワイへ移民、1890年カリフォルニアへ移民開始、1952年、日本生まれ1世が米国籍取得可能になった)
- 第二次大戦後に多くの米軍人、軍属が日本滞在を経験し、10万人が日本人妻と帰米した。
- 高度成長期以降に日系製造業が米国に進出し在留邦人が増加した。
- 日本人の所得向上、円高に伴って日本人観光客が増加した。
- 日系人の日本食需要に応えるために日系料理店が進出した。
- 日本食材需要を取り扱う日系商社が進出し、丁寧な取扱を看板に卸売りしている。
- 駐在日本人向けに日本料理を提供する店舗の商品は高額である
- 現地に進出した日本料理店が食材を現地調達したが、現地で獲れた魚への不満・不安から鮮魚の輸出がはじまった(1997年頃から)
- ビザ取得の困難なことから調理人に日本人不足が生じた。
- 日本料理店増に伴い相対的に経営者、調理人の日本人の割合が低下している。
- 肉類を多食してきた米国人自身の健康不安(肥満)と健康食品として日本料理が評価され、多様な日本食材の輸出がはじまった。
- 安価に寿司を提供するメニュー(ロール)が非日本人によって考案された。アイデア競争が激しくなり、一部の日系寿司店でもロールをメニューに取り入れるようになった。
水産物輸出のトリガとして考えられる要因
要因 | 備考 | |
1 | 邦人需要 | 日系移民(米国市場の場合) ↓ 日系企業の進出→在留邦人増→日本料理店進出→日本食材需要 |
2 | 日本からの観光客増(所得増、円高) | |
3 | 日本料理の普及 | ひとり当たりGDP、購買力のある人口の多い地域 |
4 | 現地料理用食材 | 中華料理向けの干あわび、なまこ等(東南アジア向け) |
5 | 来日客の増加 | アジアから日本への来日客の急増 日本食ファンの米軍関係者 |
6 | 水産加工原料 | 日本が加工品を引き取ることを条件に中国に輸出 規格外鮮魚の中国、韓国へ輸出 (理由:わが国の人件費が高い・辛い仕事を嫌って人が集まらない) |
7 | タンパク源 | 養殖用餌料に回る冷凍魚(サバ、イワシ等)を食用として輸出 |
8 | 国家戦略 | ノルウェーのサーモン |
禁輸の東日本産日本酒が来日中国人観光客の土産として人気(朝日新聞、2014-5-7)