ブリの特性

ブリは日本固有の魚種です

ブリは日本固有の魚種で、養殖サーモンに匹敵するあるいは養殖サーモンを凌ぐ競争力のある脂質をもつ魚種です。

ブリの分布回遊路(平成23年度魚種別系群別資源評価」をもとに水産総合研究センターが 作成」)

(水産総合研究センター発行の FRANEWS33 特集ぶり から)

ぶりは出世魚

ぶりは成長と共に名称が変化していくことで「出世魚」とも呼ばれます。その名称は地域によって違いがあります。

 関西 つばす→はまち→めじろ→ぶり

 関東 わかし→いなだ→わらさ→ぶり

はまち と ぶり の違い

「はまち」は養殖魚のなかでも小さいもの、「ぶり」は養殖魚で大きいものを指しています。ただし、「ぶり」は天然魚、「はまち」は養殖魚の意味でも使われることもあります。

冬場に脂質が豊富となり最もおいしい時期です。「寒ぶり」とも呼ばれます。

養殖ブリは5~7キロサイズと魚体が大きいほど脂質が高くおいしくなります。残念ながら量販店では取扱いやすい3.5から4キロサイズの養殖ブリが販売されています。

ブリは初夏にかけ産卵する時期となり、脂質が落ちます。

天然ぶりの漁獲

漁業・養殖業生産統計によると、養殖ブリ類生産量は天然ぶりの水揚量より多くなっています。

漁業・養殖業生産統計によると、天然ブリの海区別の漁獲量で太平洋中区(千葉県から三重県の6県)、太平洋北区(青森県下北半島から茨城県)の漁獲が急増しています。

メト化

ブリはカンパチと比較して血合肉の褐色化が速いため、鮮魚販売時に陳列可能時間が短く、さらに冷凍時の保存性の面で取扱にくさがあり、刺身商材として低い評価を受ける傾向があります。褐色化の原因は血合肉に含まれるミオグロビン(Mb)が酸化されてメトミオグロビンが生成される「メト化」です。

ブリのメト化が進行する時期は、①鮮魚では皮を剥いで空気に触れてから8時間以降 、②冷凍・解凍する際に-5-9℃の間でメト化が進行します。

メト化を遅延させる手法として、(a)餌の成分改善、(b)加工法、(c)加工後の防止法がとられています。

メト化した血合い部(中央の褐色の部分)

メト化進行の遅延加工

一酸化炭素処理: マグロなどの鮮魚として出回る魚介を一酸化炭素処理すると、刺身にした際に発色が良くなり新鮮そうに見えることが広く知られていました。一酸化炭素がミオグロビンに結びつくとカルボキシミオグロビンになり、鮮やかな赤色を呈します。このカルボキシミオグロビンは、酸素が結びついたミオグロビンや酸化されて茶色を呈するメトミオグロビンよりもより安定した物質です。 この安定した色が通常のパックよりもあたかも長持ちして新鮮なように見える。

この技術は消費者が判断する鮮度の基準を狂わせ、食中毒の原因にもなりかねないことから、日本では食品衛生法で禁止されました(1994年)。一酸化炭素処理を施した製品を米国に輸出可能ですが、 日本国内に持ち込むことはできません。

柑橘系の餌:餌に柑橘系端材(オリーブ、みかん、すだち、茶等)を混ぜることで色変わりを遅くさせる効果 、生臭さを少なくする効果を狙っている養殖業者もいます。

特殊な加工:活締時に安全で特殊な製法でメト化を遅延させる効果を狙っている加工業者もいます。 これらの加工品は国内販売可能です。

ぶり と かんぱち の違い

ぶりは日本固有の魚種ですが、かんぱちは南方系の魚種です。成長はぶりのほうが早く、かんぱちの成長が遅いので養殖魚では餌代が嵩むこともあり、魚価がぶりより高めです。

かって、養殖かんぱちの種苗は輸入されていましたが、鹿児島県ではかんぱちの人工種苗を供給 すきる施設が充実しています。